ビジネス交渉で「なるほど」を引き出す!論理的な話し方入門
ビジネス交渉で「なるほど」を引き出す!論理的な話し方入門
ビジネスの現場では、お客様や社内の関係者と日々様々な交渉を行います。その際、「一生懸命説明しているのに、どうも相手に響かない」「こちらの要望がなかなか伝わらない」と感じた経験はございませんか?
もしかしたら、それは話す内容ではなく、「伝え方」に改善のヒントがあるのかもしれません。特に、相手に納得して行動を促す「交渉」においては、論理的に話を組み立てることが非常に重要になります。
この記事では、ビジネス交渉で相手に「なるほど」と理解・納得してもらいやすくなる、論理的な話し方の基本について解説します。難しく考える必要はありません。いくつかのポイントを押さえるだけで、あなたの話は格段に伝わりやすくなります。ぜひ、今日からの交渉で実践してみてください。
なぜビジネス交渉で論理的な話し方が重要なのか?
交渉の目的は、単に情報を伝えることではなく、相手に納得してもらい、お互いにとって良い結論や行動にたどり着くことです。そのためには、感情論や感覚的な話だけでは不十分な場面が多くあります。
論理的に話すことには、主に以下のようなメリットがあります。
- 話が分かりやすくなる: 整理された情報は、相手が内容を理解する手助けになります。
- 信頼性が高まる: 根拠を示しながら話すことで、「この人の話は信頼できる」と感じてもらえます。
- 相手の納得を得やすくなる: なぜその提案や要望が必要なのか、それによってどのようなメリットがあるのかが明確になり、相手は納得しやすくなります。
- 反論に対応しやすくなる: 論理的な構成であれば、相手からの質問や反論に対しても、根拠に基づいて落ち着いて対応できます。
特に、価格や条件といった具体的な話をするとき、新しい提案で相手に決断を促すときには、論理的な説明が不可欠です。
論理的な話し方のきほん「PREP法」を使ってみよう
論理的な話し方と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本となるフレームワークを使うことで、誰でも分かりやすく話を組み立てられるようになります。その代表的なものが「PREP法(プレップほう)」です。
PREP法は、以下の4つの要素で話を構成するシンプルな方法です。
- Point(結論): まず最初に、最も伝えたい「結論」や「要点」を明確に述べます。
- Reason(理由): なぜその結論に至ったのか、その「理由」や「根拠」を説明します。
- Example(具体例): 理由を裏付ける「具体例」や「事例」、「データ」などを提示します。
- Point(結論): もう一度、最初の「結論」を繰り返して締めくくります。
この順序で話すことで、「何の話か分からない」という状況を防ぎ、聞き手はスムーズに内容を理解しやすくなります。
例えば、あなたがお客様に新しいシステム導入を提案する場面を考えてみましょう。
PREP法を使わない話し方(NG例):
「このシステム、本当に素晴らしいんです。導入されたお客様からも大変好評でして。〇〇様もきっと気に入ると思いますよ。業務効率が上がって、コストも削減できるんです。ぜひご検討ください!」
→ 熱意は伝わりますが、「なぜ素晴らしいのか」「どうして自社にとって必要なのか」が具体的に伝わりにくく、説得力に欠ける可能性があります。
PREP法を使った話し方(OK例):
「本日は、〇〇様の現在の課題である『△△業務の処理に時間がかかっている』という点について、改善策をご提案させてください。(Point:結論) というのも、弊社の新しいシステムを導入いただくことで、この△△業務にかかる時間を平均30%削減できるからです。(Reason:理由) 実際に、先日導入いただいたA社様では、同様の△△業務において、導入前の平均3時間かかっていた作業が、システム導入後は2時間で完了するようになり、担当者様の残業時間削減に大きく貢献しています。(Example:具体例・データ) このように、弊社のシステムは〇〇様の業務効率向上に必ずお役立ちできます。ぜひ前向きにご検討いただけますでしょうか。(Point:結論の繰り返し)」
いかがでしょうか。PREP法を使うことで、話の筋道がはっきりし、相手は「なるほど、だからこのシステムを勧めるのか」「具体的にどれくらい効果があるのか」を理解しやすくなります。
さらに説得力を高める+αのコツ
PREP法で基本的な論理構成はできますが、さらに相手の納得度を高めるためには、いくつかの工夫を加えることが有効です。
- 根拠の質を高める: 提示する理由や具体例は、客観的なデータ、信頼できる実績、第三者の声など、質の高いものを選ぶと説得力が増します。あいまいな情報ではなく、具体的な数字や事実を示すように努めましょう。
- 相手の状況に合わせる: 提示する理由や具体例は、相手の関心事や抱える課題に合わせて選ぶことが重要です。「相手にとって」なぜそれが重要なのか、どのようなメリットがあるのかを明確に伝えましょう。
- メリットだけでなくデメリットにも触れる(誠実さを示す): メリットばかりを強調するのではなく、考えられるデメリットやリスクについても言及し、それに対する対策を提示することで、誠実さや専門性が伝わり、信頼関係の構築に繋がります。ただし、デメリットを過度に強調しすぎないようバランスが大切です。
- 相手の理解度を確認しながら進める: 一方的に話し続けるのではなく、「ここまでのところで、何かご不明な点はございますか?」など、適宜相手の反応を見ながら、理解度を確認し、必要に応じて補足説明を加えましょう。
これらのコツを組み合わせることで、あなたの話はより響く、説得力のあるものになります。
まとめ:論理的に話す習慣をつけよう
ビジネス交渉で相手に「なるほど」と納得してもらうためには、論理的に話を組み立てるスキルが非常に役立ちます。まずは、PREP法のような基本的なフレームワークを意識して、結論から話し、理由と具体例を添える練習から始めてみてください。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、日々の報告や連絡、ちょっとした会話の中でもPREP法を意識してみることで、自然と論理的に話す習慣が身についていきます。
論理的な話し方は、あなたの「言いたいこと」を相手に正確に届け、信頼を得て、交渉を成功に導くための強力な武器となります。自信がないと感じている方も、まずは一歩ずつ、今日からこのスキルを磨いていきましょう。応援しています。